誰が中共政府に魂を売った「売国奴」か。
- 2021/05/13
- 04:52
<今週、尖閣諸島で撮影された中国海警局の船。大型の武器のようなものが搭載されています。一方、中国側の船の動きには、“ある変化”がおきていました。
◇◇◇
尖閣諸島の現状を発信している石垣市の仲間均市議。10日、自身が所有する「鶴丸」で尖閣諸島に向かいました。仲間市議が尖閣諸島で漁を行うのは今年に入って3度目。接続水域に近づくと船首に青色のラインが入った日本の巡視船が周囲を固めます。 すると…。「鶴丸」の左側に船首に赤のラインが入った中国海警局の船が現れました。中国海警局の船は右側にも現れ、2隻で「鶴丸」を追尾します。 この右側に現れた船を仲間市議が望遠レンズで撮影したところ、大型の武器のようなものを搭載していることがわかりました。
仲間市議が、武器を搭載した中国海警局の船を見るのは初めてのことです。追尾したまま日本の領海に侵入するのはこれまでどおりでしたが、仲間市議が漁を始めたとき異変はおこりました。 中国海警局の船が、まったく近づいてこないのです。およそ1か月前に仲間市議が撮影した映像では、中国海警局の船が漁を妨害するかのように接近、海上保安庁の巡視船が間に割って入るほどでした。しかし、今回はカメラで捉えるのが難しいほど、距離をとっています。 仲間市議は、「映像を撮らせたくないんじゃないかな、日本がこれだけ騒いでいるから」と指摘しました。
◇
専門家は中国側の対応の変化をこう分析します。 笹川平和財団・小原凡司上席研究員「一般的に海警局の船は、エスカレートする方向へは自動的に動きがちですが、抑制する側には自動的には動かないのが普通です。習近平氏の意向が働いている、と考えるのが適切だと思います」 習近平国家主席の意向。外交面でも想定外の状況になっている、との声があがっています。台湾問題に触れた日米首脳会談の直後には中国側が圧力を強めてくると、日本政府は身構えていましたが。政府関係者は、「拍子抜けするほど何も反応がない」ということです。 日本とアメリカが、ヨーロッパなどと“中国包囲網”を形成するなか、中国はどのような戦略を練っているのでしょうか。 笹川平和財団・小原凡司上席研究員「日本に対してあまり強く出ると、アメリカにより近づけてしまう恐れがある。なんとか日本の世論に働きかけて、あるいは日本の経済界に働きかけて、日本の政府の政策を少しアメリカから離したいと」
◇◇◇
長年、中国側の動きを見てきた仲間市議は、「(日本の世論で)熱しやすく冷めやすいのが尖閣問題だから、国民が関心持たない限りはダメですよ」ということです>(以上「日テレニュース24」より引用)
長年、中国側の動きを見てきた仲間市議は、「(日本の世論で)熱しやすく冷めやすいのが尖閣問題だから、国民が関心持たない限りはダメですよ」ということです>(以上「日テレニュース24」より引用)
対中包囲網がEU諸国にまで広がったのは習近平氏にとって「想定外」ではなかっただろうか。AIIBでも「一帯一路」でも、EU諸国は積極的か消極的かを別にして、英国を含めたUE諸国の多くが参加した。ことにイタリア政府とは「一帯一路」で中共政府と巨額投資契約を締結する段階まで達していた。
日米からEU諸国を引き剥がして中共政府側に付ければ、日米が主体となったクアッドもそれほど怖れることはない。しかしEUまでも対中包囲網に加わったとなると、習近平氏にとって想定外の一大事だ。
習近平氏は「戦狼外交」を展開して相手構わず吠え立て咬みついてきた。軍事力を背景とした強気一辺倒の外交を展開することで、中国民を魅了し国民の支持を獲得してきた。たとえ経済成長がマイナスに陥ろうと、嘘の統計で誤魔化せば何とかなる。人民元をデジタル通貨に置き換えれば、輪転機を高速にして「元」を刷りまくる必要もない。すべては習氏の差配で何とかなる。
中国経済は外国からの投資と貿易収益で高度成長して来た。しかし経済制裁により貿易収益が頭打ちになって以降、高度経済成長するために中共政府と中国の地方政府は国内投資に極度に依存した経済政策を採って来た。だが国内投資も既に限界に達し、マンションなどは供給過多に陥りインフレギャップを抱えるに到った。この場面で対中包囲網により貿易制裁を受けたなら、中国経済はたちまち崩壊する。
かつて中国は先進諸国から「制裁」を受けたことがあった。それは2008年北京オリンピックを控えて、チベットの人権問題やウィグル人に対する人権問題が世界先進諸国から問題視され、北京オリンピック・ボイコットの動きが起きた。
その際、欧米諸国と中共政府との「仲介の労」を取ったのは「お人好し国・日本」だった。結果として北京オリンピックは大成功し、中共政府の中国は2007-2008の経済制裁による落ち込みから急回復して2010年には中国が日本を抜いてGDP世界二位になった。それからも経済躍進を続けた中国は日本に対して恩義に感じるどころか、日本に対して中国を訪れた安倍首相に「臣下の礼」すら求める態度に出たのは記憶に新しいことではないか。
しかし未だに経験から学習しないアホな日本の経営者がいるようだ。主として「電池」を作っている日本電産という会社が関係企業約20社を取り纏めて、中国の遼寧省大連に投資額1,000億円も投じて電池製造の新工場を建設するという。
日本電産の経営者は「これから電気自動車の時代になるから、中国の電気自動車市場に売り込めば儲かる」との判断だろうが、中国で利益を上げたところで日本へ送金出来なければ何の意味もないだろう。しかも新工場は丸ごと中国に奪われるのは時間の問題だ。その格好の例が「テスラ」だ。
米国の最先端電気自動車メーカー「テスラ」が2019年4月に中国に新工場を建設して大躍進したが、それも束の間で現在は「独禁法違反」に問われているではないか。その構図は中共政府がアリババの経営者ジャク・マー氏を拘束して、IT企業アリババを国有化しつつある手法と全く同じだ。日本電産がテスラの二の舞にならないという保証はどこにもない。
引用記事にある石垣市の仲間均市議は海警船を怖れて他の漁師が近づかなくなった現在でも、尖閣諸島近海で漁をしているたった一人の漁師だ。国は拿捕される危険があるから尖閣近海で漁をしないように仲間氏に警告しているようだが、そんな態度が中共政府を付け上がらせるのだ。
だが、ここ最近の海警船が仲間氏の漁船を執拗に追尾したり接近したりしなくなった、という。それに関して引用記事の文中で「 笹川平和財団・小原凡司上席研究員「日本に対してあまり強く出ると、アメリカにより近づけてしまう恐れがある。なんとか日本の世論に働きかけて、あるいは日本の経済界に働きかけて、日本の政府の政策を少しアメリカから離したい」」との思惑が働いているのではないかと分析している。その通りかもしれないが、あるいは対中包囲網を緩めるように、日本政府に「仲介の労」を取って欲しいと思っているのではないだろうか。少し甘い顔をすれば、お人好し・日本政府が欧米に働きかけて対中包囲網を解くように働きかけるのではないかと期待しているフシがある。まさか、このことと日本電産の巨額投資が連動しているのではないだろうが、もしそうだとしたら日本電産の経営陣は「売国奴」との誹りを免れない。まさに日本(の知的財産)を売る行為でしかないからだ。
2008年北京オリンピック開会式に出席した日本の福田康夫首相は北京の人民大会堂で胡錦涛国家主席と会談した。福田氏は欧米諸国と中共政府との「仲介の労」を取った立役者として喜色満面だった。
まさか胡錦涛氏の後に主席に就いた習近平氏が発展した経済力を背景に軍拡に乗り出し尖閣諸島をも「領有」しようと脅しをかけて来るとは想定してなかったのだろう。そして福田氏が当時中共政府に望んだ民主的で自由な国家に中国はならなかった。
日本では「終わった」東京オリンピックで未だに騒動しているが、見据えるべきは2022年北京冬季オリンピックだ。習近平氏は何が何でも世界覇権国家・中国の偉大なる国家主席として自身を世界にアピールする絶好の機会を逃すわけがない。
ただ彼が危惧するのは対中包囲網に加わっている世界の民主主義諸国が北京冬季オリンピックをボイコットすることだ。それを防ぐために習近平氏がとるべき手段はこれまで手練手管で手懐けた日本の政界や官界や経済界の人脈をフルに使って、日本政府を動かして2008年を再現することだ。日本国民は目を凝らして良く見ておくことだ。誰が中共政府に魂を売った「売国奴」か、を。
スポンサーサイト